「美しい国」が命取り
もしかすると、安倍内閣の看板である「美しい国」が、
安倍内閣の命取りとなるかもしれません。
小泉内閣の看板であった「構造改革」。
この「構造改革」という言葉は、
一般大衆にとって、イメージはよいが、
その意味がわからなかったと思います。
「構造改革」という言葉を聞いて、
「何だか、カッコいい。でも中身は難しくて、わからない」。
これが、一般大衆の「平均的な反応」だったと思います。
しかし、「美しい国」という言葉は、どうか。
こういう言葉だったら、誰でも、わかります。
目の前にある政治現象を、
「美しいか」「美しくないか」という二分法で判断できるでしょう。
多くの国民は、
「あの政治行動は美しい」「こっちの政治行動は醜い」と判断しているでしょう。
構造改革 structural reform 2005 7 17
日本における構造改革は、外国の構造改革とは、違います。
外国の構造改革とは、不況や不景気を克服するために行う改革です。
しかし、日本の構造改革は、違います。
日本社会は、そして日本の社会制度は、
人口構造がピラミッド型であることを前提として、成り立っているのです。
ところが、少子高齢化の進行によって、
人口ピラミッドが、ひっくり返りつつあるのです。
こうした少子高齢化社会に、
日本社会や日本の社会制度を適応させるために、構造改革があるのです。
しかし、多くの国民は、構造改革のことを、
道路公団改革や郵政改革のことだと思っているのです。
これは、政府の説明不足の点もあるでしょうが、
国民の側にも責任があります。
今、日本は、重大な転機を迎えているのです。
それなのに、多くの国民は、それに気づかず、
日々の娯楽、グルメ、ファッションに夢中になっている現状があるのです。
高度成長時代や安定成長時代は、そうしたものに夢中になっていても、
問題はなかったのですが、今は、時代が違います。
転機に立つ日本、分水嶺の上に立つ日本。
これほど、重大な時代は、明治維新以来です。
構造改革 structural reform 2005 7 8
構造改革とは、都市対地方の対立でもあります。
外国に行けば、わかるように、外国では、都市と都市の間には、
人家もない、無人の広大な土地が広がっています。
この方が、経済効率がいいのです。
それに対し、日本は、山間部を除けば、
均等に、人口が広がっていると言えるでしょう。
これは、今まで、国土の均等な発達を目指してきたからです。
構造改革とは、今までの「国土の均等な発達」ではなく、
外国のような経済効率性を求めるものです。
どちらも、誤りではありません。
誤りと言えるのは、こうした重大な方針を決定するに際して、
一部の政治家や学者が決めていることです。
これでは、「お上が決めたから、国民は従え」ということになります。
こうした重大な方針を決定するには、国民的な合意が必要です。